タイの映画監督・美術家、アピチャッポン・ウィーラセタクンに密着取材!
アピチャッポンの友人でもある…カナダの俳優・映画監督、コナー・ジェサップが見たアピチャッポンの姿。2022年3月日本公開の最新作『MEMORIA メモリア』を製作する旅を描くドキュメンタリー。
アピチャッポン・ウィーラセタクン監督が新作『MEMORIA メモリア』のプリプロダクション(製作準備)で南米、コロンビアを旅した。
そこに俳優・映画監督のコナー・ジェサップが密着!
コナー・ジェサップ監督
『A.W. アピチャッポンの素顔』
2018年/カラー/DCP/47分/英語(日本語字幕)
監督:コナー・ジェサップ
制作:アシュレイ・シールズ=ミュラー
出演:アピチャッポン・ウィーラセタクン、コナー・ジェサップ
英語版予告編(上映は日本語字幕アリ)
Criterion Collection. (2018). Meet the Filmmakers Trailer: Apichatpong Weerasethakul
コナー・ジェサップ監督『A.W. アピチャッポンの素顔』アンコール上映
アートと映画の両分野で活躍するタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン。映像やインスタレーション、写真などの作品は、東京都写真美術館や東京都現代美術館、広島市現代美術館という日本の公立美術館にも収蔵されている。
東京都写真美術館の総合開館20周年記念として、2016年に開催された個展「アピチャッポン・ウィーラセタクン 亡霊たち」を体験したファンも多いだろう。
映画監督としては、前作『光りの墓』(2015)より6年を経て新作を発表。2021年「カンヌ国際映画祭」で世界初公開され、審査員賞が授与された。
『MEMORIA メモリア』と題された同作は、アピチャッポン監督が初めて母国の外に出て撮影。自身も含めてタイ人のスタッフが3名だけという環境をつくり、アカデミー助演女優賞のティルダ・スウィントンを迎え、南米のコロンビアでロケ撮影を敢行した。
そんな映画『MEMORIA メモリア』が、2022年3月より満を持して日本公開。公開を記念して、同作の準備に勤しむアピチャッポンに密着したドキュメンタリーをアンコール上映する。
監督作『MEMORIA メモリア』の撮影前、アピチャッポンはコロンビア国内を旅していた。各地を巡り、脚本を書き、構想を練っていた。その旅に同行したのが、コナー・ジェサップだった。アピチャッポンの親友にして、子どもの頃からテレビドラマに出演するカナダの俳優だ。
アピチャッポンは、ジェサップを被写体に写真とビデオを撮影。コロンビアから戻り、東京での個展に出品する作品と化した。一方、コナー・ジェサップは、旅するアピチャッポンを撮りつづけ、ドキュメンタリーに仕上げた。それが、本作『A.W.アピチャッポンの素顔』である。
アピチャッポン監督『MEMORIA メモリア』の謎を解くヒントが、ここにあるかも知れない。
アピチャッポン・ウィーラセタクン監督『MEMORIA メモリア』公開記念
『A.W.アピチャッポンの素顔』アンコール上映
会場:東京都写真美術館ホール
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
日時:2022年3月15日(火)〜3月21日(月・祝)13:20/14:40/16:00/18:00/19:20
*3/19(土)は終日休映となります
休映: 2022年3月19日(土)全5回とも休
料金: 1,300円均一(全席指定、各回入替制)
*前売券は電子チケットのみの取扱となります。
*前売券が指定の枚数に達した場合、当日券の発売はございません。
割引: 当日券を発売の場合、下記は割引料金:1,000円
・東京都写真美術館で開催の展覧会、映画の半券提示
・東京都写真美術館パスポート提示。同伴者1名まで
・東京都写真美術館支援会員が「映画優待割引引換券」を提示
前売券:2022年2月12日(土)10:00A.MよりLivepocket(ライブポケット)で電子チケット発売開始
電子サイト販売サイト:https://t.livepocket.jp/e/aw0315
アピチャッポン・ウィーラセタクン
1970年バンコク生まれ。タイの東北部、イーサン地方の中でも、北側に位置するコーンケンで育つ。両親はともに医者で、子供の頃は父の診療所が遊び場だった。当時の楽しみは、街の映画館に行くこと。
地元のコーンケン大学で建築を専攻し、卒業後は建築士として働く。次第に映画への情熱が強まり、24歳の時にシカゴ美術館附属シカゴ美術学校に留学。映画制作の修士号を取得し、後に名誉博士号が授与される。米国ではアッバス・キアロスタミ、ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤンらによる各国の映画に惹かれる一方で、ジョナス・メカス、マヤ・デレン、レン・ライらの実験的な手法に出会い、商業映画とは別の映画が存在すると知る。そこで、個人的な映画をつくろうと決意。
タイに帰国後の1999年、自由な映画制作を標榜するプロダクション、キック・ザ・マシーン・フィルムズを設立。2000年に初の長編映画『真昼の不思議な物体』完成。2002年『ブリスフリー・ユアーズ』が「カンヌ国際映画祭」ある視点賞を受賞。2004年『トロピカル・マラディ』が「カンヌ国際映画祭」コンペティション部門で審査員賞。2010年には『ブンミおじさんの森』が「カンヌ国際映画祭」でタイ映画史上初のパルム・ドール(最高賞)受賞を果たす。
現代アートの領域でも世界的に活躍。映画『ブンミおじさんの森』(2010)と同一プロジェクトとして制作した映像インスタレーション「プリミティブ」(2009)は、ドイツ・ミュンヘンのハウス・デア・クンストを皮切りに、パリ市近代美術館、N.Yのニューミュージアムでも展示された。
タイの写真家・美術家、チャイ シリと協働で、2012年「ドクメンタ13に出展、2013年「シャルジャ・ビエンナーレ」で金賞(最高賞)を受賞。フランス文化勲章シュバリエ勲章、オランダ外務省のプリンス・クラウス賞、タイ王国文化省のシラパートン芸術賞など受賞多数。
2015年には、初の舞台作品として上映パフォーマンス「フィーバー・ルーム」を演出。2016年にチェンマイに開館したMIIAM現代美術館で、タイでは初となる個展を開催。
日本においては、2008年スカイ・ザ・バスハウス(東京)で初個展。東京都現代美術館「東京アートミーティング トランスフォーメーション」展(2010)、「ヨコハマトリエンナーレ」(2011)、「さいたまトリエンナーレ2016」など大規模グループ展への出品多数。東京都写真美術館、東京都現代美術館、福岡市などが作品を収蔵している。
2013年「福岡アジア文化賞」受賞。2016年には東京都写真美術館の総合開館20周年記念で個展「亡霊たち」を開催。2017年ワタリウム美術館「坂本龍一|設置音楽展」で、坂本龍一とのコラボレーション映像を出品。今までの映画やアートで使用した音をコンピレーションアルバム「Metaphors」で発表し、坂本龍一のコメントが掲載されてた。
2019年タイの出版社より英語と日本語のバイリンガルで監督作『トロピカル・マラディ』のシナリオ本が発刊。それを記念して、東京都写真美術館ホールにて「アピチャッポン・ウィーラセタクン幻の映画上映」を開催すると大入り。同年に追加の上映会「アピチャッポン・ウィーラセタクン監督 2+1」を同ホールで開催。
2021年に監督作『MEMORIA メモリア』が「カンヌ国際映画祭」審査委員賞。「第34回 東京国際映画祭」ガラ・セレクションで日本初公開。2022年3月4日より日本公開。
コナー・ジェサップ
1994年カナダ生まれ。子役としてデビューして以来、キャリアを積みスティーブン・スピルバーグ製作総指揮の人気TVドラマシリーズ『フォーリング・スカイズ』にも出演。スティーヴン・ダン監督『さよなら、ぼくのモンスター』(2015)では主役をつとめた。映画通としても知られ、映画評論をしたり、製作総指揮(エグゼクティブプロデューサー)、原案や脚本で関与した作品も少なくない。
監督したドキュメンタリー『A.W. アピチャッポンの素顔』(2018)は、Criterion
で配信中。日本語字幕版は東京都写真美術館ホールで上映。
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